図書館の歩み
1906年(明治39)9月11日に文科大学が開設されました。そして現在の建物に蔵書が纏められたのは1997年のことで、それ以前の長きにわたり、哲・史・文の3学科の閲覧室で利用に供してきました。 創設来蓄積された膨大な蔵書を収める場は、史学科陳列館や文学部本館の拡張とともに移動を繰り返し、図書館の職員でさえ、その全容を把握するのは容易ではありません。閲覧室・書庫の変遷を略年表にまとめ、図書館の歩みとしてご紹介します。
(略年表)閲覧室・書庫の変遷
(略年表)閲覧室・書庫の変遷 | ||
1897年(明治30) | 6月18日 | 京都帝国大学設置 |
1897年(明治30) | 9月 | 理工科大学開設 |
1899年(明治32) | 9月 | 法科大学、医科大学開設 |
1899年(明治32) | 9月 | 附属図書館設置 |
1906年(明治39) | 6月 | 勅令第135号(6月4日)をもって文科大学に設置される講座の種類・数が定められ、文部省令第10号(6月11日)により9月11日から文科大学を開設することが布告された |
1906年(明治39) | 8月 | 文科大学規程制定 |
1906年(明治39) | 9月11日 | 文科大学開設、文科大学哲学科開講 |
1907年(明治40) | 9月 | 文科大学史学科開講 |
1908年(明治41) | 文科大学文学科開講 | |
1914年(大正3) | 3月 | 史学科陳列館完成。その西棟に史学科書庫が設けられ、それまで史学科の各研究室に分置していた図書を収納した。書庫の南隣に史学科閲覧室も備えられた。史学科以外の学科の書庫及び閲覧室は、当時もそれ以後10年間も専用のものはなく、各研究室に分散して配置された |
1923年(大正12) | 12月 | 本館(木造)を鉄筋コンクリートに改築。その第1期として、西棟完成。この南端に書庫(4層)を設けて哲学科、文学科の図書を収納した。書庫の北隣に上下2室の閲覧室を設け、上階は哲学科、階下は文学科閲覧室とした。これを機に文学部図書室規則、同細則を制定。蔵書は約17万冊 |
1925年(大正14) | 12月 | 本館第2期工事として西棟の北端に書庫、そこから東に続く閲覧室を階上に設け、文学科専用のものとし、元の書庫、閲覧室は哲学科専用となる |
1936年(昭和11) | 1月 | 本館第5期工事にて南辺建築完成。この中に図書室整理室を設けた。蔵書26万3千冊。文学科書庫は狭隘となり、西辺部へ拡張 |
1964年(昭和39) | 3月 | 東館(第2号館)の東半部分の建築に着工 |
1965年(昭和40) | 3月 | 東館完成。東館2階に史学科閲覧室、地階及び1-3階に史学科書庫を陳列館より移転する |
1978年(昭和53) | 3月 | 蔵書は昭和53年度末で約57万3000冊余となる。このうち約15万冊ずつが哲学科、史学科に、約20万冊が文学科に収容され、その他心理学、考古学の全蔵書と美学、社会学、東洋史学などの一部の蔵書が研究室に別置された。国史学に属する古文書も古文書室にて管理された |
1989年(平成元) | 7月 | 専門家による書庫耐震構造調査の結果、「大きな地震があればいつ事故が起こるかわからない。危険である。」との指摘を受ける。新館立て替えへの要望強まる |
1990年(平成2) | 7月7日 | 西島安則総長、文学部書庫を訪問 |
1990年(平成2) | 12月 | 緊急避難措置として、本館第5講義室を書庫に充て、特に危険であった文学科閲覧室の図書を移設することを教授会で決定 |
1991年(平成3) | 3月 | 同じく緊急避難措置として、文学部所蔵図書約10万冊の各研究室への移設と、梱包図書の附属図書館への搬入が実施される |
1992年(平成4) | 2月 | 図書の梱包は「知識の棺桶」の見出しで『AERA(朝日新聞社 1992年2月4日発行)』に掲載される |
1992年(平成4) | 4月-1993年3月 | 人文系5部局(文・教・法・経・経研)による校舎新営計画の検討が始まる。 (この時期、経研を除く4部局図書室統合構想も出された) |
1993年(平成5) | 6月 | 平成6年度概算要求提出(書庫面積は現有の1.5倍を要求) |
1993年(平成5) | 12月 | 4学部共同棟新営工事始まる(0期) |
1994年(平成6) | 6月 | 文学部新館2期に分けて計画。面積は現有面積と同じ10,560㎡。第1期面積は2,000㎡。閲覧室・書庫は地下に配置された |
1994年(平成6) | 12月 | 4学部共同棟竣工 |
1994年(平成6) | 12月15日 | 文・史・哲3閲覧室、共同棟へ移動のため閉室(1995年1月31日まで) |
1995年(平成7) | 1月 | 文学科閲覧室を共同棟地下へ移転。続いて哲学科閲覧事務室を美学研究室へ移転 |
1995年(平成7) | 1月13日-1月23日 | 本館西面部取り壊し |
1995年(平成7) | 2月1日 | 共同棟地下1Fにて文学科閲覧室業務再開 |
1995年(平成7) | 3月 | 第2期第一次分、4030㎡内示 |
1995年(平成7) | 7月 | 文学部新館第1期工事始まる |
1996年(平成8) | 3月 | 第1期基礎工事完了 |
1996年(平成8) | 8月1日 | 哲学科閲覧室第1期建物への移動始まる |
1996年(平成8) | 9月11日 | 哲学科閲覧室、文学科閲覧室と統合し、業務再開 |
1997年(平成9) | 3月-8月 | 第2期建物第1次、第2次完成 史学科閲覧室新館へ移動、3閲覧統合完了。長年の懸案であった閲覧室・書庫の統合実現 |
1997年(平成9) | 9月 | 新館図書室での業務開始 |
2003年(平成15) | 10月 | 閲覧システムによる機械貸出試行始まる |
2004年(平成16) | 4月 | 京都大学文学研究科図書館と名称を変える。閲覧システムによる機械貸出本格実施 |
2004年(平成16) | 6月 | ILLシステムによる相互利用(現物貸借・文献複写)業務開始 |
2004年(平成16) | 7月1日 | 文学研究科図書館ホームページ開設 |
2006年(平成18) | 6月 | 京都大学文学部創立百周年記念講演会開催(6月10日) 京都大学文学部百周年記念展示『百年が集めた千年』開催(期間:6月9日-7月9日) |
2008年(平成20) | 7月 | 入庫時間延長の試行始まる |
2009年(平成21) | 4月 | 授業期間中は18:45まで入庫可能に |
2009年(平成21) | 10月 | 文学研究科図書館のすべての雑誌を移転し、文学部東館に京都大学大学院文学研究科学術雑誌閲覧室を開館 |
参考文献
京都大学文学部『京都大學文學部五十年史』1956 京都大學文學部
京都大学文学部『以文会友 : 京都大学文学部今昔』2005 京都大学学術出版会
『京都大学百年史』1997-京都大学後援会